2011年 02月 23日
忙しい時ほど…ちょっとスケッチ(ほんとのメモ)
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「茫漠たる魂、砂を食みて慰む」
遮るもののない平原は、鉛色の空と溶け合って天も地もない。身体を巡る血が奇妙に強く脈を打ち、荒い呼吸が白く吐き出されていく。大の字に倒れて見上げる視界は、一面に白く煙っていた。
天か…
は、はは!
引き攣るような笑いは、実際に引き裂かれた肉に痙攣をもたらし、鎧の中には血が満ちるようであった。
は、あ…
目尻からこぼれ落ちた温かなものが、肌の土埃を集めて筋を描いた。乾涸びた肌は、吹きすさぶ風が熱いのか冷たいのかもはや感じなくなっている。舞っているのは確かに粉のような雪だというのに—。
己の涙を感じられなくなった男の脳裏に、焼き付いて離れない眼がまた浮かんだ。泣いている。あいつはきっと、王のくせによく泣くのだろう。涙が出るのは幸いだ。俺などは…一体いつ…泣いたのか…
雪に埋め尽くされてゆく豪奢な鎧は、凍り付いた土塊のように見えた。こびりついた血と肉で、毛房が奇妙な形に固まっている。すぐに血の匂いを嗅ぎ付けて狼が来るだろう。それもよかろう。俺を喰らって、生きるがいい—。
ホゲの意識は、あれほど翻弄された天に向かっていた。雪だけが己と天を繋いでいる。働きかける術はない、おれは、こうして、ただ雪を受け、埋まってゆくのだ。
咳き込んで苦し気に首を回すと、こぷりと音を立てて血の塊が流れ出た。血の匂いが深紅の幻想を呼ぶ。それは二度と会うことのない女の情念を思い出させた。
キハ
かすかに開いた唇は、せわしなく呼吸をしながら乾いていった。霞み始めた視界はまっすぐに天を捉えたまま動かず、差し出されようとしている白い手を感じることもできない。
キハ…
ずるりと身体が滑り始めた。細い影は、降りしきる雪を肩に積もらせて一心に引いた。小さな影が倣うように、もう一方の手を取った。まるで橇のように、ホゲは凍り付いた地面を引かれていった。
-----追記-----
えーと、四神記創作打ち止めネタではありません(滝汗)。
ホゲたんが生きてたら、というほんとにただのスケッチです。
忙しい時ほど…小ネタが…
遮るもののない平原は、鉛色の空と溶け合って天も地もない。身体を巡る血が奇妙に強く脈を打ち、荒い呼吸が白く吐き出されていく。大の字に倒れて見上げる視界は、一面に白く煙っていた。
天か…
は、はは!
引き攣るような笑いは、実際に引き裂かれた肉に痙攣をもたらし、鎧の中には血が満ちるようであった。
は、あ…
目尻からこぼれ落ちた温かなものが、肌の土埃を集めて筋を描いた。乾涸びた肌は、吹きすさぶ風が熱いのか冷たいのかもはや感じなくなっている。舞っているのは確かに粉のような雪だというのに—。
己の涙を感じられなくなった男の脳裏に、焼き付いて離れない眼がまた浮かんだ。泣いている。あいつはきっと、王のくせによく泣くのだろう。涙が出るのは幸いだ。俺などは…一体いつ…泣いたのか…
雪に埋め尽くされてゆく豪奢な鎧は、凍り付いた土塊のように見えた。こびりついた血と肉で、毛房が奇妙な形に固まっている。すぐに血の匂いを嗅ぎ付けて狼が来るだろう。それもよかろう。俺を喰らって、生きるがいい—。
ホゲの意識は、あれほど翻弄された天に向かっていた。雪だけが己と天を繋いでいる。働きかける術はない、おれは、こうして、ただ雪を受け、埋まってゆくのだ。
咳き込んで苦し気に首を回すと、こぷりと音を立てて血の塊が流れ出た。血の匂いが深紅の幻想を呼ぶ。それは二度と会うことのない女の情念を思い出させた。
キハ
かすかに開いた唇は、せわしなく呼吸をしながら乾いていった。霞み始めた視界はまっすぐに天を捉えたまま動かず、差し出されようとしている白い手を感じることもできない。
キハ…
ずるりと身体が滑り始めた。細い影は、降りしきる雪を肩に積もらせて一心に引いた。小さな影が倣うように、もう一方の手を取った。まるで橇のように、ホゲは凍り付いた地面を引かれていった。
-----追記-----
えーと、四神記創作打ち止めネタではありません(滝汗)。
ホゲたんが生きてたら、というほんとにただのスケッチです。
忙しい時ほど…小ネタが…
by kuro-kmd
| 2011-02-23 20:40
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